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サンチャゴ巡礼記4

29027230_1293530900790698_9099210927310591321_n今年で3回目になる「世界遺産“サンチャゴ巡礼路”を歩く」。キリスト教の巡礼路であり、世界遺産でもあるスペイン版お遍路の約800kmを、本学の学生12人が約40日かけて歩いています。

 

10kgを超えるバックパックを背負い、毎日ひたすら歩き続ける修行のような旅を経て、彼らは何を得るのでしょうか。

 

今回は計4回を予定している現地レポートの最終回。

 

旅を終えた時の様子を、リベラルアーツ学群3年生の芳野貴洋(よしの たかひろ)さんに伝えてもらいます。

 

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29313012_1299543456856109_3210020887170030567_n3月17日午後、ついにサンチャゴ巡礼の終着点、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(以下、コンポステーラ)に到着した。

 

2月13日にサンチャゴ巡礼「北の道」の出発地、イルンから巡礼を開始した私たちは、36日かけて、約815kmを歩き抜いた。イルンから519km離れたオビエドまでは「北の道」を通り、オビエド以降は別ルートである「カミーノ・プリミティボ(最初の道)」へ歩を進めた。

 

「カミーノ・プリミティボ」は、サンチャゴ巡礼の原点にあたるルートで、アルフォンソ2世(アストゥリアス王)がその道を歩いたことを機に世界中へ知れ渡った。

S__144982025コンポステーラ到着の翌日、3月18日、日曜日の午前11時には、メンバー全員でサンティアゴ大聖堂の「ミサ」に出席した。

 

日曜日ということもあり、大聖堂には多くの人々が足を運び、賑わいをみせていた。

 

約1時間に渡るミサも残り10分に差し掛かると、大聖堂の名物、「ボタフメイロ」の儀式が披露された。

 

ボタフメイロはロープを使い、7~8人がかりで動かす巨大な香炉(重量80kg前後)で、振り子の原理で弧を描くように揺れ動き、お香を聖堂内に充満させる。この儀式は、大聖堂で行われるミサの象徴、そして巡礼の終わりを告げる場面として知られている。

28377850_1287044648105990_8633225543659348531_nお香を焚くのは、中世や近世の巡礼で、泥にまみれた巡礼者達の汗の匂いを消臭するためだった。

 

現在は名物として行われている。よって、この儀式に参加できるのは、唯一コンポステーラの大聖堂のみである。

 

私たちの巡礼は、この儀式をもって終わりを迎えた。

 

しかし、儀式を見るまでには私たちらしいというか、紆余曲折があったことを記さなければならない。

28577557_1289400104537111_8059938333080083464_nコンポステーラまで残り2週間を過ぎた頃、アルベルゲ(巡礼者専用宿)のホスピタレーロ(巡礼宿の管理人)から、「ミサでボタフメイロの儀式を見ることができるのは日曜日だけ」だと聞かされた。

 

私たちはそれぞれ疲労度や意見をすり合わせて、急遽計画を変更し、日曜日のミサに合わせ、土曜日の午後にコンポステーラへ辿り着くように計画を練り直した。

 

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だが到着後、「3月から儀式はキリスト教の祭日を除く日は、事前に450€(現在のレートで日本円に換算すると約5万円)を支払わなければ見ることができなくなってしまった」という情報を得る。

 

写真で見ても分かるように、今年の3月から始まったらしい大聖堂の工事の影響があり、情報が錯綜していたようだった。3月以前までは、祭日に関係なく、参加者が上記のような金額を支払わずとも、毎週日曜日の11時から始まる昼のミサで儀式は行われていた。

 

私たちは落胆した。

 

 

 

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にもかかわらず、私たちが幸運にもボタフメイロをミサで拝めることができたのは、おそらく、全席を埋め尽くすほどの参加者の中の誰かが、事前に支払いをしていたからだろう。

 

私たちは、ボタフメイロを見るのを楽しみに、これまで過酷な巡礼生活を送ってきたと言っても過言ではない。

 

事実、行程上コンポステーラに到着するのは17日ではなく20日だった。3日分の距離を、10日ほど前から少々無理をして稼いだのだ。結果、ボタフメイロが揺れ動く様を直接眺めることができた。

 

 

 

貴重な春休みに日本からスペインに飛び、トラブルがありながらも巡礼路を歩ききったメンバー全員の願いが、奇跡のような展開で叶った瞬間だった。

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