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No.33 〇〇〇〇〇群 木村〇〇先生
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子どもの育ちと音・音楽とのかかわりについて体験的に学ぶ『音楽表現法』

[2018年02月28日掲載]
身近なモノの音や自然の音を探索したり、音・音楽を介した様々な表現の可能性を追求したりする体験を通して、子どもの音楽的な表現を受け止める感性を磨いたり、子どもの豊かな表現を育む援助について考えたりする。
実際に子どもと音楽との出会いの場となる活動を構想し、近隣の子どもたちを招いて開催する「保育フェア」において実践を通して学ぶ。

Step.1 聴く・イメージする -「音との出会い」を問い直す-

[音の探検隊]

学内を散策し、身のまわりにある音たちに意識を向けてみる。「聞こえている」はずの音たちを普段いかに聞き逃しているかということに気づくとともに、五感をひらいて「聴く」ことによって音との出会い方を問い直す。

小鳥のさえずりや風の音に気づいて空を仰いだり・・・

枯葉を踏みしめる音と足の感触を感じたり・・・

芝生の手ざわりや匂いを感じながら音を聴いたり・・・

[音地図づくり]

「音の探検隊」で見つけてきた音たちを様々な色や形や手ざわりで表現し「音地図」をつくる。また、音のイメージを言葉や身体の動きで表現してみる。 聴覚以外の感覚も総動員して音を表現してみることにより、音に対する自らの感覚やイメージを再認識する。そして、他者のイメージや表現にも出会い、「一人ひとり違う」ことに気づく。

Step.2 音をつくる・奏でる -「音楽すること」を問い直す-

教室の中の「お気に入りの音」を探してみたり、声や身体やモノを使った即興的な音楽表現を試してみたりする。思いやイメージをもって自らの身体によって「自分の音」をつくり奏でることの楽しさを知るとともに、より豊かな音楽表現を目指して自らの「聴く力」や「身体の使い方」などの技能を磨く。これらの体験を通して、従来の「楽譜通りに間違えずに演奏する」「教えられた通りの正しい奏法で楽器を鳴らす」という音楽との向き合い方を問い直してみる。

未知の楽器との出会い
どうやって鳴らす?どんな音がする?
「自分の音」を見つける

傾ける角度やスピードを変えると音が変わる・・・
「この音が好き」を見つける

身体やモノの音を使ってオリジナルのアンサンブル作品を即興的につくって発表

この曲のここはどんな奏法・音色がいい?豊かな表現を目指して工夫する

Step.3 伝える・つながる -「子どもと音楽との出会い」を考える-

「保育フェア」の活動を構想する。子どもたちは音楽とどのように出会うのか、どのように出会ってほしいのか、そのためにはどのような環境構成がふさわしいのかを考え、具体的な活動の計画を立て、準備および練習を行う。履修者たちが主体的に企画するため、活動内容は毎年異なるが、本授業での一連の体験およびそこでの考察を振り返りながら、保育における音楽的な経験の意味についての思考を深め、援助の方法を学ぶという目的は毎年共通している。

※「保育フェア」とは:保育専修の学生たちが主体的に様々なプログラムを企画運営する。当日は、近隣の子どもたちを招き、子どもたちとのかかわりを通して実践的に学ぶ。毎年1月に開催している。

2018年の「保育フェア」では
『出かけよう!みんなで奏でる音の旅』と題して、
参加型コンサートを企画

子どもたちに渡す手づくり楽器を製作
「どんな音?どんな素材?」と試行錯誤

子どもたちと一緒に歌い、演奏し、踊り・・・音楽を伝える、そして、音楽でつながる

木村先生が音楽教育を学び始めたきっかけとは?

「中学生の時に、吹奏楽部での活動や合唱コンクールを通して、みんなでつくり上げる音楽の素晴らしさに鳥肌が立つような感覚をもつ瞬間が何度もありました。もともと幼い頃から音楽が好きでピアノを習っていましたが、中学生の時のこの感動体験が転機となり、人をこんな気持ちにさせる音楽をつくる人になりたいと思い、作曲の勉強を始め、大学(学部)は作曲科に進みました。それから10数年の時を経て、再び転機が訪れました。きっかけは子育てです。音楽に合わせて自然に身体を揺らして喜んだり、音の出るモノでいつまでも飽きずに遊んでいたり、覚えた歌を片言ながら一生懸命嬉しそうに歌っていたり・・・そんなわが子たちの姿を日常的に目の当たりにするうちに、人が音楽と出会い、音楽とともに生きていく、ということの面白さ、不思議さにとても興味をもつようになりました。つまり、対象としての音楽ではなく、音楽する主体としての人間(とりわけ赤ちゃんや子ども)の側に興味の対象が変わってきたのです。そこで、その後、大学院に入学し、音楽教育学を専門として学ぶことにしました。」

受講生の感想

音の多様性に気づき、「“きく”とは何なのか」を深く追求することができました。

音がつながって音楽になり、音楽で人と人がつながるということがわかり、音というものの可能性は表現する人によって無限大だと感じました。

保育現場だからこそ大切な音楽についての考え方を少しわかった気がします。頭の中で音のイメージを考え、それを表現することで、音そのものについて注目し考えるようになりました。子どもたちが音自体に興味を持ち、響きを楽しみ、それを大切にしながら楽器を使ったり音楽に繋げられるようにしたいと思いました。

保育フェアでは、表現する楽しさと子どもたちの前でやる覚悟を知ることができました。「子どもたちに何を伝えたいのか?子どもはどう思うのか?」受け手のことを考えて表現する大切さを知ることができました。

保育フェアでは、子どもたちのキラキラ輝く目や期待に満ちた姿に出会うことができました。手づくり楽器を楽しそうに鳴らす子どもたちの姿を見て嬉しかったと同時に、その時、私たちも無意識でしたが音に合わせながら友だちと顔を見合わせて楽しく演奏をしていました。音楽で人と人がつながるということを実感することができた瞬間でした。

トーンチャイムを演奏したとき、子どもたちから「きれいな音」という声が聞こえてきて嬉しかったです。子どもが初めて出会う楽器を演奏する時の責任にこの時初めて気がつきました。

保育者自身の豊かな表現力や感性が求められると感じました。自分が楽しいと思うものに自信を持って届けようとする気持ちがなによりも大切であると思いました。

わたしたちはこれまでの経験の中で、まだ出会ったことのない音や音楽に触れ、表現者としての感性を磨いていくのだと思います。子どもが初めて音や音楽に出会う瞬間に立ち会える可能性の高い保育者として、子どもの表現するもの、また、内面に持っているものをしっかりと見つめられるようにしたいと思います。