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芸術作品とキリスト教のつながりを知る
『キリスト教と芸術(a)』

[2016年2月29日掲載] 
西洋文化圏で生まれた美術や音楽は、キリスト教の影響を受け、発展してきたものが多い。授業では、ルネッサンス、バロック時代の代表的な絵画を取り上げ、その作品の歴史的・社会的・文化的な背景、またそこに表現されている思想や世界観を紹介する。作品に込められた作者の思い、作品細部の象徴的な意味などを読み取る鑑賞眼を養うことを目的とする。

※この授業は、キリスト教入門を履修している、もしくはそれに相当するキリスト教理解を前提としています。

キリスト教美術の題材となることが多い聖書の箇所

旧約聖書『創世記』2章7節
「主なる神は土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった」

アダムの創造

ミケランジェロ作『アダムの創造』(ヴァチカン:システィナ礼拝堂天井画)

1511年頃の作品で、神(右)が最初の人類アダムに生命を吹き込もうとしている。指と指の間に隙間があるのは、神は超越した存在であり、神と人間との間に同質性がないことを表している。
アメリカのSF映画『E.T.』で、主人公エリオットが指を怪我し、E.T.が指を合わせて治癒するシーンはこの絵画をなぞらえたものである。

絵画に見られるルネッサンス前後の変化~聖母子像~

ルネッサンスとは?・・・フランス語で「再生・復興」の意味。14世紀にイタリアを中心に始まった文化運動で、15世紀以降、西欧各地にもみられた現象。神中心の中世的なあり方から、人間中心の自我を主張する近代的な生き方への転換が芸術面にも反映された。

ルネッサンス以前アダムの創造

ドゥッチオ作『クレーヴォレの聖母子』
(イタリア:シエナ大聖堂付属美術館)

ルネッサンス以降アダムの創造
ラファエロ作『ヴェルヴェデーレの聖母』
(オーストリア:ウィーン美術史美術館)

ルネッサンス以前は、ヨーロッパの人々はカトリック教会の教えを通して世界を見ていたが、ルネッサンス時代になると、人々はカトリック的ヨーロッパの外にも世界があることを認識し始めた。そのことが理性の目で世界を見直すことを促し、聖書の物語を描く絵画においても、登場人物もその背景もより現実的に描かれるようになった。

キリスト教絵画のアトリビュート

キリスト教絵画には、特定の聖人や登場人物に密接に結びついた目印が描かれる。これをアトリビュートという。
例えば、聖母マリアのアトリビュートは、天の真実を意味する「青いヴェール」や、神の慈愛を表す「赤色の衣服」で、上の『ヴェルヴェデーレの聖母』に見ることができる。

受講生の感想

遠藤楓さん(総合文化学群 演劇専修4年)

キリスト教とともに自分の大好きな絵画について勉強ができるので、この授業を履修しました。そして、キリスト教絵画は、神を讃えるだけでなく、キリストや聖人にまつわる出来事や神の教えを読み解くもの、【眺めるものではなく読むもの】ということを知り、以前とは見方が変わりました。時代とともに変遷を遂げた絵画を鑑賞し、「その時代は何を伝えようとしていたのか」ということも学ぶことができました。また、絵画だけでなく、キリスト教音楽についても触れる授業で、ゴスペルを学ぶ回はとても楽しかったです。
井上先生は、授業中に美声を披露したり、おもしろいことを言ったりと、ユーモアにあふれている一方、遅刻者、私語をしている学生には厳しい一面があります。授業中にスマホを見ていた学生に対し、「便利な道具は同時に自分を危険に陥れる」と注意していたのは印象的でした。今後も多くの学生に勧めたい授業です。

井上先生の意外な一面!

幼いころから聖歌隊に入り、讃美歌を歌っていたため、自然に音楽への興味が湧いたと言う井上先生。後にその時代の美術にも興味を持ったそう。音楽はジャンルを問わず好きで、クラシックやジャズのほか、今ではテイラースウィフトの曲もお気に入りに。休日には、美術館巡りを楽しむ。特に好きな絵画作品は、戸口にたたずむ老人と少女の間にある光と空間をもって聖書的な慈愛を描いたジャン=フランソワ・ミレー作の『慈愛』。
料理も好きで、得意料理は魚のあら煮とみそ汁! みそ汁はこんぶや鰹節で取るダシにこだわりを持って作っている。