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No.29 芸術文化学群 小林玲子先生
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観客の心に訴える演奏法を学ぶ
『舞台音楽演習』

[2015年8月31日掲載] 
授業ではオペラ、歌曲の2重唱に魅力的な演技づけをして、自身の役柄を歌声と体で表現する方法を身につける。ロッシーニ作曲「おかしなネコの2重唱」、モーツァルト作曲 オペラ「ドン・ジョヴァンニ」より『お手をどうぞ』、「魔笛」より『パ、パ、パの2重唱』などを2人1組になって発表する。
演技をつけた状態であっても正確なリズム、発音はもとより安定した発声が求められる。

※この授業は、声楽を履修していることが履修条件です。

Point.1 『上虚下実』を実践する

クラッシック音楽の発声においては首、肩、胸など上半身に余分な力みがなくゆるんでいる状態、そして足、腰などの下半身が安定している状態が理想である。

Point.2 『呼吸器官』を理解する

歌うための呼吸をするとき、また歌声を支えるときに重要な呼吸器官である口、舌、咽頭、声帯、肺、横隔膜、胸筋、広背筋、腹筋などの位置関係と運動能力の関係について知る。

Point.3 『腹式呼吸』を体で覚える

研究室にある人体模型

腹式呼吸とは横隔膜と腹筋周辺の筋肉で肺に空気を入れる呼吸法である。息を吸うと横隔膜は肋骨を広げながら下がる。そして、たくさん吸った空気を効率良く使わなければならない。発声法はさまざまであるが、歌声にボリュームを出す、長いフレーズを歌う、音程を正確に保つ、リズムを正確に刻むなど、全ては横隔膜で支えなければならない。

赤ちゃんを観察して見ると、息を吸ったときにお腹が膨ら
み、吐き出すときにお腹がスーッと凹むことが分かる。
赤ちゃんが長い時間泣き続けても声が枯れ
たり声帯を痛めたりすることがないのは、
実は腹式呼吸をしているおかげ。

Point.4 手の使い方で感情表現をする

手や腕を含む上肢は、演じる人物の感情を表現しやすい。中指を軸として指先まで意識を持っていくときれいに決まる。「喜・怒・哀・楽・苦・悲・驚・恐・憂」の感情を物語性豊かに表現するとき、手と腕の動きは声とマッチして観客に受け入れやすく、腕を動かすときは肩甲骨から広げると大きく見せることができる。

Point.5 語学の勉強をしっかりと

授業では、最初に歌詞を音読し、発音と歌詞の意味を確認する。
作詞者や作曲者の意図したものを自分なりの解釈に基づき表現するためには、歌詞の一字一句を正確に理解する必要がある。授業時間外にも辞書を引き、語学の勉強をしっかり行ってほしい。
原語で歌うように語れることが理想である。

小林先生が声楽を学び始めたきっかけは・・・?

中学の部活ではホルンを吹き、高校は合唱部に所属していました。将来は音楽の勉強をしたいと密かに思ってはいたものの、両親には言えず・・・。ピアノの先生に相談をすると「あなたは良い声だからコンクールでも受けてみたら?」と。高校3年のとき、毎日コンクールを受けて見事1位になり、両親はしぶしぶ私が音楽大学に行く事を承諾しました。そして私はモンセラート・カバリエやマリア・カラスのようなオペラ歌手になりたくて海外留学を決意。イタリアで25年間暮らしましたので、半分イタリア人のようになって日本に戻って参りました。

受講生の感想

下地泰煕さん(総合文化学群 音楽専修4年)

この授業を受けて声帯の構造がわかり、より良い声で歌うために人体についてもっと知りたくなりました。次の学期は健康福祉学群の『解剖学』の授業を受けてみようと思います。

鈴木愛実さん(芸術文化学群 音楽専修3年)

小林先生は自分の出した声について、良し悪しを的確に指摘し、指導してくださいます。身体の使い方や声を飛ばす方向をイメージするだけで、出る声が変わるので、これからゼミでオペラを本格的に学ぶ際にも、生かしていきたいです。

※総合文化学群は、2013年度より芸術文化学群へ名称変更しました。

小林先生は1981年~2005年まで25年間イタリアに暮らし、声楽を学び、オペラを歌ってこられた。
現在もほぼ毎月演奏会に出演され、2~3年に一度ソロリサイタルを行われている。
昨年は、10月10日に和光大学ポプリホール鶴川にて5回目のソロリサイタルを開催。イタリア・オペラの中でも難曲である「清教徒」より『私は愛らしい乙女です』ほか、ショパン作曲『乙女の願い』『悲しい河』、リスト作曲『平和は見つからず』その他、日本歌曲も6曲ほど披露された。なお、この日のピアノ伴奏はショパンの研究者であり、音楽専修准教授の小早川朗子先生が務めた。