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No.28 青年海外協力隊 阿部翔太さん(2013年度 健康福祉学群卒業)
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昔の自分が原動力

[2018年02月28日掲載] 
「青年海外協力隊(JICA)」を知っていますか? 世界各国の開発・教育現場などに、現地のニーズに合ったボランティアを派遣する活動を半世紀以上続けている団体です。今回紹介する阿部翔太さんは、在学時野球部で活躍していた経験を買われて、JICAのボランティアとしてニカラグアで子どもたちに野球を教える活動をしています。

阿部さんは卒業後、いったんは希望していたブライダル業界に就職。「人の人生に大きく関わるイベントに携わることができる、こんな仕事は他にない」と充実した日々を送っていました。しかし、在学時に見たJICAの電車広告が忘れられず、「いつかやってみたい」と思いながら就職して1年半。ついに一念発起して退職。その後無事にJICAの試験をパスして、ニカラグアへ派遣されました。

現地ではスポーツ庁が運営する野球アカデミーのコーチと、年代別の代表チームのコーチを兼任しています。昨年9月に行われたU-18ワールドカップにも代表チームのコーチとして帯同。日本代表チームの練習を視察した際には、阿部さんの活動を応援しようという同チームの意向で、ボールを150個贈られるなど、親交を深めました。

そんな阿部さんが今、特に力を入れているのが女子野球の普及です。

「ニカラグアには、女性が野球をプレーする環境が整っていないのですが、そんな中でも『野球を学びたい』という女の子がいました。練習の成果を披露できる大会や試合もないのに……と不思議に思ったのですが、意欲があるならと教えることにしました。別の日にはスポーツ庁でキャッチボールをしている一人の女の子を見かけて、その子に『何で野球をやっているの?』と聞いてみると『野球が好きなの。いろんな国と試合ができるんだから男の子がうらやましい。私も野球がしてみたい』って。野球は素晴らしいスポーツなんだと改めて教えられた気がしました」。

「野球が好きな女性はたくさんいます。ただプレーするという選択肢はあまりないみたいです。でも、女性がプレーし始めたら、ニカラグアの野球は劇的に変わると思います。『お母さんみたいになりたい』と言って野球を始める女の子が増えるかもしれない。そうなると野球の人気にも大きな影響を与えますよね。女子野球が普及すると、野球を見る子が増えて、野球を家族で見に行く回数も増えて、応援する人が増えるに違いないと思いました。その手伝いをしたいというか、まあ、彼女たちの本気度に影響されたのが1番ですね」。

このように、現地のニーズに応えながら、自ら意欲ある挑戦をされている阿部さん。情熱の源になっているのが、在学時、野球部で経験したある出来事にありました。

「部には自分よりうまい人がたくさんいて、入部当初はメイングラウンドで練習することもできませんでした。高校では2年生からレギュラーだったぼくにとって、それは初めての挫折で、とても悔しかったです。毎日自主練習を続けながら、ようやく自分の希望する背番号をもらえたのは、4年生のはじめです。春、秋とレギュラーとして試合に出場し、その年のチーム目標を達成することができました。最後までやり抜くことで、自分は必ず成長できるんだと知りました。『やり抜く力』の大切さを大学時代に学び、それを今も忘れないようにしています」。

在学時の学びを生かして、遠い異国で奮闘する阿部さん。最後に、日本とニカラグアの環境を比較して気づいたことを話してくれました。
「ニカラグアに来て思ったのですが、日本は環境的にすごく恵まれています。ただ、その分ハングリー精神が薄れていて、チャンスがすぐそこに転がっていることに気がつけない。ぼくもそうでした。
だからあの時の分までがんばりたいと思っています。それが今の自分の原動力です」。

阿部さんが参加した団体青年海外協力隊(JICA) (https://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/)

政府開発援助の一環として、多数の開発途上国に、現地のニーズに合わせた人材を送る海外ボランティア派遣制度。50年以上の歴史を誇り、これまでに5万人を超えるボランティアを約100カ国に派遣している。その仕事内容は開発・整備、教育、医療、マネージメント、マーケティングなど多岐にわたる。